2022年4月施行の改正個人情報保護法によって、多くの企業にとって重要視される「クッキーバナー」。
今回はクッキーバナーについて解説していきたいと思います。
目次
Cookieとクッキーバナー
Cookieとは
簡単に言うとWebサイトを訪れたユーザーの情報(閲覧履歴、ID、パスワードなど)を一時的に保存したしたものです。
Cookieの活用例を身近なところであげると、Webサイトに再び訪れた際にCookieを活用してスムーズに表示させることがあげられます。
企業においては広告の配信に活用されており、類似ユーザーへの広告配信もCookieを利用しております。
クッキーバナーとは
Cookieが非常に便利なものだと思う一方、これらのデータはユーザーの同意なく活用されているため、プライバシーの侵害と問題視されています。
特に広告においては皆さんもWEBサイト閲覧中に、意図しない広告が表示されるといった経験がないでしょうか。
こうした観点からCookieの取得に同意を得るために登場したのが「クッキーバナー」になります。
なぜ今クッキーバナーが重要視されているのか
①EU各国での規制の強化
EUでは2018年より「EU一般データ保護規則」(GDPR:General Data Protection Regulation)が施行されて個人情報取り扱いが規制されているのに加え、2020年EU各国の監督機関はクッキー規制の取締り強化を表明しており、実際にクッキー規制の法律が制定されております。
それに伴い、日本国内でも越境ECなどの海外ユーザー向けのサイトが存在する場合、これらの国の法律に合わせる必要があるため、ユーザーからCookieを利用することの同意を得なければなりません。
適切に行っていない場合、制裁金を課されたり集団訴訟が起こりうる可能性があり、実際に2019年スペインのIKEAでクッキー規制違反で制裁金を課された事例が上がっています。
参考:https://portal.bizrisk.iij.jp/news/365
②改正個人情報保護法の施行
冒頭でもお伝えした通り、2022年4月より改正個人情報保護法が施行され、個人関連情報(Cookieなど)の第三者提供制限規制が新たに盛り込まれます。
この第三者提供制限規制に伴い、企業がWebサイトを通してユーザーから取得したCookieを広告配信のためなどに第三者に提供する可能性がある場合、原則として提供及び取得について本人の同意が得られていることを確認する義務を負うことになります。
③ユーザーからの信頼の獲得
クッキーバナーを入れるのは法令遵守のためではなく、サイトを訪れるユーザーが安心して利用頂くことが目的となります。
今回の改正法でプライバシー保護が強化されていますが、ユーザーの求めているレベルが法律の義務を超えてきているのが現状です。
ユーザーから信頼される企業であるために、企業はプライバシー保護に対し社会的責任をもって取り組む必要があります。
クッキーバナーを導入するにあたり気を付けること
ここまで来ると、クッキーバナー導入を検討されている方も多いのではないでしょうか。
最後にクッキーバナー導入時に求められる要件について解説します。
ダークパターンは作成しない
簡単に言うと、ユーザーが無意識に自身に不利な行動を取るように誘導するデザインを指します。
クッキーバナーの場合、同意取得率を上げようとする表示方法が当てはまり、以下はダークパターンに該当するので制作時には注意が必要です。
・ボタンが「同意する」しかない:クッキーウォール
・閲覧を続けるなら同意したとみなす:みなし同意
・「同意する」ボタンを他の選択肢よりも目立たせて表示させる
ユーザーの感情に配慮
cookie同意取得にあたり、ユーザーの不安などの感情に配慮し、安心を与えることが重要になってきます。
上記で挙げたダークパターンだとユーザーに不安を抱かせることになるでしょう。
クッキーバナー制作時には
・活用目的や取得内容などを明記
・ユーザー自身に「イエス」「ノー」の選択の機会を提供する
ことを念頭に入れておきましょう。
今回はクッキーバナーの重要性について書かせていただきました。
ユーザーが安心してWEBサイトを利用するためにも、ぜひクッキーバナーの導入を進めていきましょう。